髪の毛は毎日100本も抜けている
毛髪が濃く見える人と薄く見える人の差は、本数と太さが関係しているのですが、それと同じくらい影響しているのは発毛サイクルの違いです。サイクルの違いといっても、生え始めてから抜けるまでの周期は基本的には誰もが同じことを繰り返しています。
若い時期には発毛サイクルが短くて、抜けても次の髪が早く生えてくれば全体の本数は減ったようには見えません。通常なら年齢を重ねるにつれて発毛サイクルが長くなってくるわけですが、抜け毛が多い人、薄く見えるのが早い人は年齢よりも発毛サイクルが短くなっているということがいえます。
発毛サイクルを見てみると、毛母細胞が盛んに細胞分裂を繰り返して髪が徐々に伸びていく期間は成長期と呼ばれます。毛髪の成長速度は1日に0.3〜0.4mmで、1か月で1〜2cmほど伸びます。毛母細胞には活動できる期間がほぼ決まっていて、細胞分裂が止まると伸びが止まる退行期となります。次に髪が毛母細胞から離れて、毛髪が抜けるまでの皮膚が表面に上がってくるのが休止期となります。このあとに毛髪が抜けて脱落すると再び成長期に移っていきます。
発毛サイクルは案外と期間が長くて、1本の寿命は男性が3〜5年、女性が4〜6年とされています。このうち成長期が2〜5年、退行期と休止期が数か月で成長期が圧倒的に長くなっています。約10万本といわれている毛髪のうち90%は成長期にあって、この期間に順調に成長していれば発毛サイクルは確保されるわけです。
休止期になって抜け落ちる毛髪の数は平均すると100本ほどで、寝ている時間が1日の3分の8時間とすると、朝起きたときに枕に30本以上の髪がついていても当たり前の範囲だということができます。
ただし、どこから抜けたのかが問題となります。
気になる部分の密度が高ければ薄くは見えない
毛髪が10万本であっても、誰もが同じような濃さに見えるわけではありません。同じだけの本数であっても、見た目で気になる部分に密集していたとすれば濃く見えます。少なくとも薄くは見えないわけです。薄さが気になる部分といえば前頭部や前頂部ですが、この部分の毛髪の密度は平均すると1㎡に約150本となっています。それに対して、側頭部や後頭部は200本ほどとなっています。
本数と同時に、見え方に影響を与えているのは太さです。毛髪は太さには個人差があって、1本ずつが太ければ、それだけ全体的に毛髪が多いように見えます。日本人の毛髪の太さは50〜100μmとなっています。1μm(マイクロメートル)は1000分の1mmのサイズです。
欧米人(白人)の場合には約15万本も生えているのに、それほど濃いようには見えません。というのは、日本人に比べて毛髪が細いからです。日本人の毛髪は欧米人の1.5倍の太さがあり、この割合からいうと日本人も欧米人も同じような見え方になるということです。金髪の場合には全体的に薄く見えやすく、日本人の黒髪は濃く見えやすいのですが、そのために前頭部や頭頂部の本数が少し減ってきても薄さが目立つという特徴があるのです。