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毛髪によい糖質制限とは?

親和クリニック大阪院では、薄毛治療の専門クリニックとして自毛植毛手術やAGA薬等を使用した治療を行っています。

しかし毛髪が発育する基本は食事による栄養摂取であり、それが不十分であるとどんな治療も台無しです。そういう意味で糖質制限ダイエットは、本当に注意しなくてはいけないものです。やり方を間違えると髪に重大なダメージを与えてしまうからです。そこで今回は、糖質制限ダイエットが髪にダメージを与えるメカニズムを紹介したいと思います。

 

糖質制限の本当のところを知っておこう

過剰なダイエットは、女性の場合は生理がなくなり、男性の場合は精力が低下すると同時に髪の毛が生えにくくなると言われています。健康維持に必要なエネルギー源が減ってきたときには、生命維持に必要がないものからストップさせようとします。飢餓状態にあるときに生殖は必要がないことであり、毛髪も生命維持ということでは二の次となってしまうということです。

今どき、飢餓状態ということはないと思われがちですが、健康維持のためにと始める人が多い糖質制限は、正しい方法で実施しないと身体的には飢餓状態と同じことになって、これが毛髪に大きな影響を与えてしまいます。糖質制限は、全体の食べる量を減らさずに糖質を減らすだけでダイエットもできれば、糖尿病をはじめとした生活習慣病の予防と改善にもつながるということで、簡単に始められ、比較的簡単に結果が出る健康法として期待されているのですが、毛髪に関しては、そんなに簡単なものではないということを知っておいてほしいのです。

糖質制限については多くの医師や管理栄養士などが書籍やネットで発言していますが、どれくらいの量を減らせばよいのか、どれくらい食べればよいのかという具体的な数値となると、なかなか示されていません。ご飯は1日に1回だけ、とか、ご飯を半分に減らすといった曖昧なまま続けていたら、抜け毛を増やし、毛髪の再生が遅れることにもなってしまいます。

糖質制限が薄毛につながるメカニズムですが、毛髪の成長に欠かせないタンパク質が不足するからです。糖質というと一般には、ご飯やイモ類などに含まれるデンプンを指していますが、デンプンは消化酵素によって分解されるとブドウ糖になります。糖質制限をすると、血液中のブドウ糖が減ります。ブドウ糖は、全身の細胞ですぐにエネルギー源として使われるものですが、エネルギー消費される分よりも多く摂った場合には、肝臓の中でブドウ糖は脂肪酸に合成されます。脂肪酸3個が結びついたものが中性脂肪で、中性脂肪は脂肪細胞の中に蓄積されていきます。

血液中のブドウ糖が減ると、エネルギー不足を解消するために脂肪細胞の中の中性脂肪が分解されて、脂肪酸として血液中に放出されます。これが糖質制限によってダイエットができる理由です。

さらにエネルギーが不足した状態になると、体内のタンパク質が分解されてエネルギー源として使われるようになります。毛髪の80%以上はケラチンと呼ばれるタンパク質であるので、全身のタンパク質不足は毛髪の栄養不足となります。糖質制限では、糖質のエネルギーが不足する分だけタンパク質が含まれる肉や魚などを食べることがすすめられるのは、タンパク質不足を起こさないようにするためです。

健康維持のための糖質の摂取量については、厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2020年版)」には全摂取エネルギー量の50〜65%と示されています。少なくとも1日の摂取エネルギー量の半分は糖質から摂るようにということです。三大エネルギー源のエネルギー量を1gあたりで見てみると、糖質とたんぱく質は約4kcal、脂質は約9kcalとなっています。30代、40代の男性の1日の消費エネルギー量は、体重や活動量によって異なるものの、標準的には2700kcalとなっています。その半分なら1350kcalを糖質から摂ることになるので、ご飯にしたら約337gとなります。茶碗1杯分のご飯は約150gなので、1日に2杯と少しの分量ということになります。

全身をコントロールしている脳に必要なブドウ糖の量は1日に150gとされていて、これを下回ると脳だけでなく、全身に影響が出てきます。三大エネルギー源(糖質、脂質、たんぱく質)のうち脳で使われるのは糖質のブドウ糖だけです。脳が正常に働かなくなると、これは生命維持の危機的状態であるので、これが毛髪の発育に影響を与えないギリギリの量ということになります。

 

過剰なブドウ糖がタンパク質を劣化させる

糖質の制限のしすぎが毛髪に悪影響を与えるということがわかると、糖質を積極的に摂ろうと考える人がいるかもしれませんが、糖質の過剰摂取はタンパク質を劣化させることになります。血液中のブドウ糖が増えると、血液中のタンパク質が糖化します。ブドウ糖が減ってくれば元の状態に戻るのですが、ブドウ糖が多すぎる状態が続くとAGE(終末糖化産物)が作られます。AGE(Advanced Glycation End Products)はタンパク質とブドウ糖が結合して発生した老化を進める原因物質で、皮膚の場合にはシミやシワの原因になり、血管の場合には動脈硬化の原因となります。

頭皮にAGEが蓄積した場合には、頭皮のタンパク質が劣化して、血管が硬くなって血流も低下して、頭皮の健康状態も保たれにくくなります。毛髪を成長させる毛根の毛乳頭細胞にAGEが蓄積すると、毛根に炎症が起こり、毛髪の成長サイクルが遅くなって、抜け毛に対して発毛が間に合わなくなってしまいます。

健康維持に必要な糖質制限で止めておいて、血糖値(血液中のブドウ糖の量)が上昇しすぎないようにすることが毛髪の健康には必要だということです。

参考)
日本人の食事摂取基準2020年版(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/eiyou/syokuji_kijyun.html

糖化防止(オムロン:ヘルシーライフ)
https://www.healthcare.omron.co.jp/resource/column/life/139.html