自毛植毛手術に関連する言葉として、ショックロスという言葉があります。専門的な言葉ですので、あまり普段は耳にする言葉ではないかと思われます。そこで、今回はショックロスについて説明します。
一時的な抜け毛を知っておけば慌てないで済む
自毛植毛をした後に抜け毛が起こるのは、正常なヘアサイクルを始めるためにリセットされた状態であることを説明しましたが、それ以外にも抜けが一時的に増える場合があります。これはショックロスと呼ばれていて、抜け毛のタイミングが集中していることから多くの本数が抜けたように見えて、慌てさせられることもあります。
ショックロスの原因は実は、はっきりとわかっていません。一説には、自毛植毛や手術のときの局所麻酔の影響や手術の際のストレスが原因と言われています。
これは、一時的な抜け毛というところが大切で、自毛植毛は自分の別のところの丈夫な毛髪を移植するので、時期が過ぎれば再び生えてくるようになります。
抜けるといっても、もちろん全部が抜けるようなことはありません。これまでの例では10〜15%ほどと報告されています。15%だったとしても、密度が高い部分の毛髪が15%くらい減っただけでは外見からは気づかないことが多く、一時的なものなので、ケラチンパウダーでの対処も有効です。
抜け毛が起こる部位は、移植をした範囲と、局所麻酔の注射をした範囲、ドナーを歳出した部分だけです。それ以外の部分に抜け毛が起こることはありません。
そもそもヘアサイクルで抜けている期間は長くはなく、全体の毛髪のうち85〜90%は残っています。抜けている期間の本数は全体の10〜15%ということで、一時的なもので心配することはないと説明をしています。
回復には、長くかかった人でも1年ほどです。多くは3〜4か月間となっています。
男性はショックロスが起こりにくい
ショックロスは男女差があって、女性のほうが現象が起こりやすくなっています。先にも触れたように原因ははっきりとはわかっていませんが、原因の一つとして考えられているのは、毛髪の密度が高まったことによる血流の低下、つまり、これまでの本数では充分に足りていた血液が、栄養成分を送り込む毛髪が増えたことで1本ずつでは栄養不足になる、これが一時的な抜け毛を増やす原因であることが考えられています。女性は、もともと本数が多く、多くの血液が必要であったことから、その影響を受けやすくなっているというのです。
ショックロスは男性に比べて女性のほうが個人差が大きく、抜け毛が一時的に増えやすく、しかも男性よりも早く始まることが多くなっています。しかし、女性は移植後の成長も早く、ショックロスからの回復も早くなっています。
そもそもショックロスといっても影響は個人によってことなります。発生したからといって、全員の抜け毛が気になるというものではありません。本当に気になってヘアウィッグなどの対応が必要になるのは20%ほどだとされています。毛髪が弱い人のほうが起こりやすいことも当然のことと考えられています。
まとめ
ショックは衝撃という意味、ロスは失うことを指しているので、これが合わさった言葉は、きつく感じるかもしれませんが、そんなに恐ろしいことではありません。対応も明らかとなっており、正常に回復していくことから、ショックロスについて自毛植毛手術の前にしっかりと説明をして、理解をしていれば、精神的なショックも軽減できます。
説明と理解が不足していて、精神的なショックが大きくなると、それがストレスとなって抜け毛を増やすようなことがあっては仕方がありません。自毛植毛をした部位以外の抜け毛が増えてしまったのでは意味がなくなるので、しっかりと説明を受けて、納得をしてから手術に臨むことが大切です。