毛髪を成長させることを目的とした育毛サプリメントは、多くの種類が登場していますが、使っていない人だけでなく、使っている人であっても期待するだけの効果があるのか大いに気になるところです。
そんな疑問や心配事に答えるような調査として「育毛サプリ100人アンケート調査」が育毛サプリメントの使用経験者100人に対して、インターネット調査で実施されました。これが、自毛植毛手術のようにエビデンスがある科学的なものであるかどうかは疑問ですが、参考になるものなのかもしれません。
育毛効果が期待される有効成分
「育毛サプリ100人アンケート調査」では、育毛サプリメントへの素朴な疑問や心配事に答えるような調査として育毛サプリメントの使用経験者100人に対して、インターネット調査で実施されました。「効果あり」と回答したのは34人で、残りの66人は「効果なし」と答えていて、効果がないと感じているのは、あるという人の2倍ほどにもなっていました。
育毛のためのサプリメントに限らず、サプリメントに対しては一般的に期待値が高すぎる傾向があり、まるで医薬品のような期待を寄せている人も少なくありません。
育毛サプリメントに使用される成分は、抜け毛予防、毛髪の生成、頭皮環境調整、血行促進、ホルモン調整などに大きく分けることができます。薄毛になった原因と、成分の有効性が合致していれば期待する結果に近づくことは可能と言えますが、根本的な原因と異なったものを摂っても、あまり効果がないのは当然のことです。
抜け毛を予防する成分としてサプリメントに含まれている成分はケラチン、L‐リジン、亜鉛、ビタミンB₂です。
ケラチンは毛髪を構成する大きな成分です。ケラチンは18種類のアミノ酸の複合体ですが、そのままでは吸収されにくいという弱点があります。そのために吸収されやすいケラチン加水分解物に加工されています。L‐リジンはケラチンを構成するアミノ酸の一つで、カルシウムを吸収させ、コラーゲンの形成を進めることによって毛髪を修復させる成分です。
亜鉛は細胞を成長させるために欠かせないミネラルで、毛髪の生成にも頭皮の新陳代謝にも必要な成分となっています。タンパク質を毛髪に定着させるために重要な働きをしています。ビタミンB₂は細胞の再生を補助する働きがあり、亜鉛とともに効果を発揮します。頭皮の新陳代謝を活性化させる働きがあります。
頭皮の環境を整える成分としてあげられるのはビタミンA、ビタミンC、コラーゲンペプチドです。
ビタミンAは皮膚細胞の分化を促進させる成分で、頭皮のターンオーバーを促進させることによって頭皮環境を保つことができます。ビタミンCはコラーゲンの生成に必要な成分で、活性酸素を消去する抗酸化作用があります。頭皮を丈夫にするとともに、血管を丈夫にしてくれます。活性酸素は皮脂を酸化させて、毛髪の発育にも悪影響を与えることから摂取は有効となります。
コラーゲンペプチドはコラーゲンが細かく分解されたもので、吸収性がよくなっています。コラーゲンは体内のタンパク質の30%以上を占めていて、細胞を結びつける接着剤の役割をしています。食事から摂ったタンパク質はアミノ酸に分解されてから小腸から吸収されます。そして、血液中に入ったあとに、肝臓に運ばれて、体に必要なタンパク質に合成されています。口から入ったままの形で血液中に入るわけではないのです。
ところが、ペプチドという小さな結びつきになると、そのまま吸収されて、肝臓でも元のコラーゲンに合成されやすくなります。そのため全身の皮膚と同時に頭皮にもコラーゲンが届きやすくなり、弾力性がある丈夫な頭皮の維持にも役立つようになります。
イソフラボンが薄毛を予防
血行をよくする成分としてはビタミンE、カプサイシンがあげられます。
ビタミンEは、血管を拡張するとともに血管の弾力を保って血行を促進する作用があります。活性酸素を消去して酸化を防止する強い働きがあるものの、逆に酸化しやすいという弱点があります。酸化した変性ビタミンEは血管を酸化させて、弾力を失わせることさえあります。変性ビタミンEを元の状態に戻して、抗酸化力を取り戻してくれるのはビタミンCなので、一緒に摂るのが効果的です。
カプサイシンは唐辛子に含まれる辛味成分で、新陳代謝を高めて、体を温めると同時に、血管を拡張させて血流を促進させる作用もあります。
ホルモン調整に役立つ成分として知られているのはイソフラボンです。イソフラボンは大豆に含まれるポリフェノールで、女性ホルモンのエストロゲンと似た構造をしていることから、女性ホルモンの影響を受ける毛髪の育成にも役立ちます。女性はエストロゲンが多く分泌されることから抜け毛が少なくなっていますが、エストロゲンには男性ホルモンのエストロゲンと酵素の5αリダクターゼの結合を抑制する働きがあり、ジヒドロテストステロンの生成を抑える効果が確認されています。
ジヒドロテストステロンは毛母細胞の働きを低下させる作用があるため、イソフラボンによって生成が抑えられれば、毛母細胞の働きを正常に保って、毛髪の育成を促すことができるというわけです。
参考)大豆イソフラボン