植毛 大阪 親和クリニック 自毛植毛 大阪コラム 【公式】

薄毛とコロナ重症化の深い関係

新型コロナウイルスの研究と対策が進む中で、感染しやすい人とともに重症化しやすい人が徐々に明らかになってきました。その一つの傾向が男女差で、男性のほうが女性よりも重症化率が高いことは世界的に報告されています。その一つの原因として考えられているのが免疫力の差です。男女の免疫力の違いについては以前から言われていたことで、がんを例とすると女性は発症しにくく、発症しても死亡率が低くなっていました。

男性ホルモンと感染を重症化させる

がんや感染症と戦うのは免疫細胞の働きです。免疫細胞のリンパ球の一つのB細胞は、直接外敵と戦うのではなく、攻撃をする抗体を作り出しています。新型コロナウイルス感染でも抗体の働きは大きな話題となりました。その抗体を作り出す力を女性ホルモンが高めてくれるのに対して、男性ホルモンは逆に低下させることが知られています。これだけのことでも男性は不利となっていますが、男性ホルモンの中でも、どのホルモンが影響しているのかについての研究が、コロナ禍の中で進められてきました。

そんな中、アメリカとスペインの共同研究によって、男性ホルモンのアンドロゲンが新型コロナウイルスによる発症に影響するとの論文が発表されています。アンドロゲンは男性型脱毛症に影響を与えるホルモンで、精巣から分泌されています。アンドロゲンが毛乳頭細胞にあるアンドロゲン受容体遺伝子と結合することで毛髪の成長が抑えられることが知られています。

アメリカの研究チームは、遺伝子の中にあるCAGリピート数に注目しました。CAGは遺伝子の塩基配列の一つで、その繰り返しがCAGリピートです。CAGリピート数が多いほど男性ホルモンの影響が出やすい傾向があります。新型コロナウイルスに感染した男性65人を調べたところ、CAGリピート数が多かった人は入院日数が平均47日で、70.6%がICU(集中治療室)で治療を受けていました。CAGリピート数が少ない人は平均25日の入院で、ICUに入ったのは45.2%だったといいます。

このことからわかったのは、アンドロゲン受容体遺伝子が活性化しやすいほど新型コロナウイルスの重症化リスクが高くなることで、男性型脱毛症の人の重症化リスクが高いということになります。

アンドロゲンは酵素のプロテアーゼを増やす作用がありますが、プロテアーゼにはウイルスを活性化させることが知られています。このことが新型コロナウイルスを活性化させることにつながると考えられていますが、スペインの報告では男性型脱毛症と新型コロナウイルスの関係性を明らかにしています。

スペインの研究チームは、3つの病院で新型コロナウイルスに感染した男性を調査していますが、そのうち79%が男性型脱毛症の人だったとヨーロッパ皮膚科性病科学会議で発表しています。ヨーロッパでは男性型脱毛症の割合が高い特徴がありますが、新型コロナウイルスに感染した男性と同じ年齢で男性型脱毛症の人は31〜59%であることから、男性型脱毛症の人が新型コロナウイルスに感染しやすいと結論づけています。

後遺症で起こる脱毛の原因

この結果を受けて、男性型脱毛症の治療をすれば、新型コロナウイルスに感染しにくくなり、重症化もしにくくなるということを期待する声も出てきます。しかし、男性型脱毛症の治療をして感染防止、重症化防止につながるようなことはありません。

新型コロナウイルスに感染すると後遺症として抜け毛が増えることが知られています。これは急性休止期脱毛であると考えられていて、成長期の毛髪が通常よりも多く抜けるものです。休止期脱毛は怪我や出血、手術、出産のほか身体に大きな負担をかけることによっても起こります。新型コロナウイルス感染による発熱、倦怠感だけでは脱毛まで進むことは少ないものの、重症化した場合には相当な負担が体にかかることから脱毛が起こるのは当然のことといえます。

新型コロナウイルス感染から回復した人が後遺症として脱毛が起こる確率は20%ほどで、発症後30日くらいで抜け毛が増え始め、発症後120日ほどまで継続することが報告されています。脱毛の期間は平均76日となっています。これは世界的な傾向で、国内では国立国際医療研究センターの調査で58人中14人(24.1%)に脱毛がみられ、多くが発症の2か月後から始まっているといいます。日本人の場合には何らかの原因で遅れて抜け毛が起こっているのかもしれません。

重症化した人だけでなく、中には感染して無症状であっても脱毛が起こる例もあり、発熱などがなくても、気がつかないところで身体的な影響が起こっていることが考えられているのです。

新型コロナウイルスに限らず、身体の負担が大きな病気になっても脱毛が起こる可能性があるということですが、抜け毛の部位は一般にみられる前頭部や頭頂部で、自毛植毛で移植に使われる部位ではあまり起こっていません。これは自毛植毛を考える人にとっては有効な話といえます。

 

参考)コロナ脱毛症
https://forbesjapan.com/articles/detail/36537