薄毛は男性のほうが多いので、それだけ男性のほうが薄毛を気にしているであろうという考え方から、薄毛対策については男性のみをターゲットに定めている会社が多く存在していました。その一方で、薄毛の女性は少ないので数を狙う会社にとってはターゲットになりにくいということはあったものの、少ないだけに薄毛になってきた女性の傷つき方は激しくて、それだけにヘビーユーザーとなることも考えられます。
確かに来院する方や実際に自毛植毛手術を受ける方は、圧倒的に男性が多いのですが、男性以上に女性が薄毛の場合の方が、悩みが深いようには思います。
薄毛の人は薄毛をどう思っているのか
どちらの考えが当たっているのかについては、これまでの薄毛を対象とした調査では、あまり明らかにはされてこなかったようですが、その参考となるような調査結果が「2020年薄毛調査報告書」として発表されました。この調査は、薄毛である、または薄毛であることを気にしている全国の20〜69歳の男女2063人を対象として、さまざまな薄毛に関する調査をリクルートライフスタイルとホットペーパービューティーアカデミーが実施したものです。
その調査結果では、薄毛の割合は男性では26.7%、女性では7.8%となっていました。
薄毛の人は、どれくらい気にしているのかという気になり度合いを調べていますが、男性の場合には「とても気になる」が35.3%、「やや気になる」が39.5%、「どちらともいえない」が8.0%、「あまり気にならない」が10.4%、「全く気にならない」が6.8%となっていました。女性の場合には「とても気になる」が49.6%、「やや気になる」が44.2%、「どちらともいえない」が3.2%、「あまり気にならない」が2.6%、「全く気にならない」が0.4%と、半数近くが「とても気になる」と答えていることがわかります。
「とても気になる」と答えた人と「やや気になる」と答えた人を合わせた数では、男性は74.8%、女性は93.8%と、女性のほうが気にしている割合が高いことがわかります。
薄毛に関する気持ちのトップ2、つまり「とても気になる」と「やや気になる」と答えた人が、どんな悩みを抱えているのかについても聞いています。それによると、男性では「薄毛についてとても悩んでいる」が58.1%、「薄毛であることにとても抵抗感がある」が58.6%、「今後、薄毛を改善することは難しいと思う」が68.4%、女性では「薄毛についてとても悩んでいる」が80.9%、「薄毛であることにとても抵抗感がある」が81.2%、「今後、薄毛を改善することは難しいと思う」が69.9%となっています。女性のほうが強い悩みを抱いているものの、改善は難しいと考えているのは男性よりも少ないということで、これを見ると男性のほうが諦め感が強くなっているようです。
薄毛でない人の薄毛の捉え方は
「悩みを抱えていない人には、本当の気持ちはわからない」ということは、何も薄毛に限らず、昔から言われ続けてきたことです。薄毛でない人は、薄毛になった場合には悩みを解消するために積極的に行動を起こすのか、それとも「なってから考えればいい」と楽観的になっているのかも、気になる質問としてなされています。
薄毛でない人が薄毛になった場合に、「薄毛のための対策をすると思う」と答えているのは男性で14.2%、女性で34.5%となっています。ここでいう対策というのは、薄毛治療、髪・頭皮ケア、ウィッグ・カツラなどを指していますが、女性は圧倒的に具体的な対策を行おうとしています。
「特に対策はしないが、目立たないように坊主・短髪にすると思う」という返答は、男性では24.5%、女性では14.3%と、これは質問の内容から髪の毛を短くすることに抵抗が低い男性のほうが多いのは当たり前かもしれません。続いて、「特に対策や髪型の変更はせず、自然のままに任せると思う」は男性では60.5%、女性では49.9%となっています。女性は毛髪を伸ばして、セットの仕方によって薄い部分をカバーすることがしやすいのですが、それを選択したのは思いのほかに少ないようです。
薄毛対策の金額についての質問もされています。ここが“薄毛市場”に携わる人も強い関心を抱くところです。薄毛対策にかけている毎月の金額は、男性では3,857円、女性では3,295円と男性のほうが多いのですが、数年の傾向を見ると男性は横ばいか減少傾向にあるのに対して、女性は年々増加しています。現在かけている金額ではなくて今後に薄毛対策にかけてもよい毎月の金額についても聞いていますが、男性では4,815円、女性では4,172円と実際にかけている金額よりも多くなっています。お金さえあれば対策にお金を使いたいという気持ちが出ているようです。また、数年の傾向では、こちらも男性は横ばいか減少傾向にあり、女性は年々増加していると同様に結果が得られています。女性は、まだまだ薄毛対策にお金をかけるということです。
このような調査を見ると自毛植毛手術は、現在男性が行うケースが多いのですが、女性が解決策として行うケースが増えてくることも予想されます。専門クリニックはもっと女性が相談しやすいようにする工夫が必要なのかもしれません。
2020年薄毛調査報告書
http://hba.beauty.hotpepper.jp/wp/wp-content/uploads/2020/09/data_usuge_20200910.pdf